~ 大人の解釈~
私たち大人は親として、常に子どもが何を考えるているのか知りたいあまりに、子どもの表面的な行動を分析して、心の中にある気持ちを判断してしまうことがあります。Music
Togetherのクラスでは、是非その大人としての見解を忘れて、大人自身が子どもにかえったように、子どもの観点からの体験を想像してみてください。 大人としての判断から、
子どものためにならない、楽しくない、安全ではないなどと否定的に感じていたことが、実は子どもの習得過程の大切な一部であったと発見することも少なくありません。
あるクラスにとても活発でいつも積極的にクラスに参加していた3歳の女の子がいました。ある日突然Hello Songがはじまるとクラスの隅にいき、隠れながらクラスの輪を遠くから静かに
見つめ始めました。はじめは誰もがびっくりしたのですが、私は講師として、彼女の体は輪の中にいなくても、彼女の「心」はしっかりと輪の中に残り、音楽を楽しんでいるのだと感じ
ていました。それは、いつもと変わらない彼女のキラキラした目と、嬉しそうな笑顔が証明していました。その女の子のお母さんはMusic Togetherのプログラムの理念を深く理解して
くださっており、娘さんを無理やり輪の中に連れてこようとはしませんでした。お母さんご自身輪の中に残りクラスを楽しみながらも、時折娘さんのところへ行って歌ってあげていました。
その状態は数週間続いたのですが、ある日クラスの後にお母さんがとても興味深い話をしてくださいました。
そのお母さんが「どうして、クラスの隅に行ってしまうの?」と聞くと、すぐさま女の子は「輪の中で歌うよりも、みんなの歌声を部屋の隅で聞きたいの。 輪から離れた方がもっとよく聞こえる
のよ!」と嬉しそうに答えてくれたのです。楽しい歌声のハーモニーを、観客として聴くのが楽しくないはずがありませんよね!深く納得してしまいました。(みなさんも輪から離れて、クラス全体
の歌声を聞いたことがありますか?是非、一度試してみてくださいね。)このお話を聞いて、改めてこの女の子は彼女自身が選んだ方法で音楽を楽しんでいるという私の推測が正しかった
ことがわかり、とても嬉しく感じました。 それと同時、子どもの心理を尊重し、自由に音楽の楽しみ方を見出すことを励ますMusic Togetherの環境の素晴らしさを改めて感じたのです。
もし、この女の子に「みんなと一緒に輪の中で歌いなさい」と強制をしていてたらどうなっていたでしょうか?みんなの歌声を聞いて楽しんでいた彼女は、きっと拒否したに違いありません。
そして彼女の純粋な「歌声のハーモニーを聴いていたい」という思いはどこに行ってしまうのでしょうか?
一般的に子どもがクラスの輪の中で参加しない姿は「興味がない」か「正すべき行動」と解釈されてしまうことが多いのが事実です。幸いこの女の子の場合は、意思を言葉で
伝えられる年齢だったことで彼女の気持ちを理解することができました。しかし、まだお話ができない子どもの場合、親の私たちはどのような方法で子どもの気持ちや
音楽に対する自然な反応を尊重できるのでしょうか?
Music Togetherのクラスでは、子どもが自由に音楽を楽しめる環境を大切にしています。子ども達の中には、歌うよりも聴くことを好む子ども、または動くことよりも観察することを好む
子ども、その違いは千差万別です。大人が勝手に決めた「正しいスタイル」を押し付けず、子どもがさまざまな発見をしながら自由に楽しめる環境の中では、子どもなりの好みやスタ
イルが尊重されます。
例えばクラス全体が音楽に合わせて楽しいダンスをしているときに、輪の中に座り込んでまわりを眺めるだけのお子さんは、踊っているクラスから音楽のリズムや動きを視覚的に
感じ取っているのかもしれません。
楽器を口に入れ、なめまわしている赤ちゃんは、楽器というものへの興味を自然な形で表現しているのかもしれません。 (特に赤ちゃんの場合、舌は手などと同じ位大切な、
受容器官なのです)Music Togetherでは私たち大人が子ども達をよく観察して、子どもの特有の好みや自然なスタイルを見極め、それを励ますことを強調しています。
大人の解釈はいつも正しいとは限りません。 私たちは親として、子どもの自発的な発見や、行動を励まし、尊重できる環境をいつも保っていきたいものですね。